今回もAIについて考察します。
人工知能(AI)の進化が新たな段階に入った事を前回お伝えしました。
米新興OpenAIが開発した「ChatGPT(チャットGPT)」は、質問に巧みに回答する高度な対話能力を備えており、世界に衝撃を与えています。米Microsoftは検索エンジンにオープンAIの技術を導入し、米Googleも独自の対話AIの公開に踏み切りました。
これが前回のおさらいです。

人のコミュニケーションの根幹である言語や創造性の領域に進出し始めたAIは今後どんな恩恵や脅威をもたらすと思いますか?

米Microsoftが自社の検索「Bing(ビング)」に、ChatGPTを強化した機能を組みました。
色々使ってみて、確かに有益な使い方はありますが、事実と反するものや陰謀論に近い回答も多くて、精度面で改善の余地はまだまだ大きいと思われます。

検索シェア首位のGoogleは「信頼性」を高める方向へ動いています。シェア数%の「Bing(ビング)」は、短期的に伸びてもGoogleの牙城を崩すほどのインパクトはないと思います。

さて、実際の個々では、検索で見つかりやすい「SEO(検索エンジン最適化)」の状況を通じ、現状の検索傾向があります。
「答えが出にくい」といった対話の方が適している検索タイプはまだごく一部です。
特定のサイトを見るためなど、多くは従来型の検索で対応できます。対話検索のニーズはまだそこまで大きくないと思われます。

Googleも対話AI機能を搭載する計画ですが「Bing(ビング)」ほど対話に力を入れないと思っています。
検索結果に応じて出す広告収入はGoogle社の屋台骨なので、自らエコシステムを破壊するとは考えにくいと思われます。
事実、検索では20年近くどこもGoogleの牙城を崩せなかったですよね。
ブラウザー(Chrome)など基盤を押さえているし、人の習慣はそう簡単に変わらないと思います。

一方で、近年Googleがサイトに遷移しなくても情報を得られる「ゼロクリック」を進化させてきたのも事実です。
GoogleMapで店のレビューを確認したり、検索結果ページ上でネット通販の商品比較や「富士山の高さ」といった問いの回答が見られたりします。必要と判断した情報のみ自動で示す方向性は、対話型の検索も同じ傾向です。
苦労して作ったサイトがAIの学習対象にはなる。ただ、人にアクセスされにくいとなると情報発信の価値は落ちます。サイト内広告から収益を得ることでネットの情報は拡大してきたのに、今後無料で見られる情報が増えにくくなるかもしれない不安材料があります。

対話型の検索に適した広告の出し方は今はまだ答えが見えていません。従来型より広告へのアクセスを増やすのは難しく、広告市場は一定のマイナスの影響を受けるかと思います。

対話AIを使えば広告目的で大量のページを機械的に作れる。ただ、こうした乱造コンテンツは現在もGoogleの検索では表示されにくいです。中長期で検索結果が「汚染」される可能性は低いと思われます。

今回はここまで。
またなにか情報発信・考察を書いていきます。