デザインに関わったことがない方でも「黄金比(1:1.618)」という比率について一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

モナリザの顔の縦横比だったり、Appleのりんごのロゴマークだったりが黄金比で作られていることは有名な話です。

しかし、同じ比率でも「白銀比(約1:1.414)」については、あまり馴染みがないかもしれません。

実は私たち日本人にとって、黄金比よりも白銀比の方が馴染み深い比率とも言われています。
 

この比率が用いられている代表的なものをいくつか挙げます。

 

1. 畳(たたみ)

  • 日本の伝統的な畳の寸法が白銀比に近い比率になっています。
  • 畳の長辺と短辺の比率は約1:√2となっており、和室の美しいバランスを生む要素です。

2. Aシリーズの用紙(A4、A3など)

  • A4用紙やA3用紙など、国際規格の「ISO 216」で定められた用紙サイズは、白銀比を採用しています。
  • 長辺と短辺の比率が1:√2になるよう設計されており、半分に折っても比率が維持されます。

3. 法隆寺の五重塔

  • 日本の古代建築の代表例である法隆寺の五重塔では、構造全体や各層の比率に白銀比が反映されています。
  • 美しいバランス感が日本建築の特徴です。

4. 茶室(茶道建築)

  • 茶室の設計では、畳の寸法だけでなく、全体の空間設計に白銀比を取り入れることが多いです。
  • 限られた空間の中で調和のとれた美を追求しています。

5. 掛軸(かけじく)

  • 掛軸の縦横比も白銀比に近いものが多いです。
  • 掛軸を茶室や和室に飾る際、全体の空間との調和が重要視されます。

6. 絵巻物

  • 日本の伝統的な絵巻物も、展開した際の全体的な比率や構図に白銀比の考え方が使われています。

7. 風呂敷

  • 風呂敷の長方形タイプでは、白銀比に基づいた設計が見られることがあります。
  • 包むものに応じて柔軟に使いやすい形状です。
白銀比は、日本の文化に深く根付いており、調和や安定感、柔らかい美しさを生み出す重要なデザイン要素として活用されています。
 

白銀比を使って何ができるか考えてみました

 

1. レイアウトやグリッドの構成に利用

白銀比を用いて、デザインの基本レイアウトを設計することで、視覚的なバランスが取れたデザインが可能です。以下のようなシーンで活用できます:

  • ポスターやチラシ:テキストエリアと画像エリアを白銀比で区切る。
  • ウェブデザイン:メインコンテンツとサイドバーの幅を白銀比にする。
  • 書籍や冊子:本文と余白の比率を白銀比に近づけることで、読みやすさを向上

2. プロダクトデザイン

製品の寸法や形状に白銀比を取り入れると、自然と目に心地よいデザインが生まれます。

  • 家具:たとえば、テーブルの天板と脚の幅の比率を白銀比に設定。
  • パッケージデザイン:箱の縦横比やラベルの配置に白銀比を利用。

3. ロゴデザイン

白銀比は、ロゴの要素間の比率やスペースの配分に応用できます。シンプルな形状や文字配置のバランスを取る際に非常に効果的です。

  • アイコン:正方形を基準にして、白銀比で円や長方形を配置。
  • 文字間隔:フォントのカーニングや行間を白銀比に調整。

4. 写真やイラストのトリミング

写真やイラストをトリミングする際、白銀比を意識すると構図が美しく整います。

  • 風景写真:水平線をフレーム内で白銀比の位置に配置。
  • ポートレート:顔や目をフレームの白銀比の交点に配置。

5. 日常のツールや装飾

  • 文房具:ノートの縦横比や、表紙のデザインに白銀比を活用。
  • インテリア:壁掛けアートやポスターのフレーム配置を白銀比で決定。

白銀比を取り入れることで、日常のデザインに調和と美しさを加えることができます。これらのアイデアを試して、ぜひお店のデザインプロジェクトに反映してみてください!