GA4が登場した背景

・1人が複数の端末を持つ時代になった

ここ数年、オンラインにおけるユーザーの環境や行動は大きく変化し、誰もがスマートフォンを持つことが当たり前になり、
複数の端末を使うユーザーも増えています。
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)では、1人のユーザーが異なる端末を使う場合、別のユーザーとして識別されて、
データが計測されていました。
その為、サイト上のユーザーの行動を正確に分析するためには、ユーザーの行動に合わせた最適なデータを収集することが必要となってきたのです。


・プライバシーの尊重、Cookieの利用が規制されるように

昨今、ユーザーのプライバシーの保護がますます重視されており、Cookie(クッキー)※1などの情報取得や利用に制限がかかるようになってきています。
個人情報保護の潮流が高まるなかで、ユーザーの情報履歴や行動履歴にしっかりと配慮することや、データ規制に準拠したWebの活動が求められています。

※1 Cookie(クッキー):PCやスマホのブラウザに保存される、ごく小さなテキストデータ。ユーザーを識別する情報やアクセス状況などが格納されており、Webサイトを利用するさまざまな状況で利用されています。


GA4の特徴
GA4ではWebサイトとアプリをまたぐユーザーの行動を、横断して計測することが可能になっています。
これまで、Webサイトのアクセス解析には「Googleアナリティクス」、アプリのアクセス解析には「Firebase Analytics」という2つの計測ツールを利用していました。
しかし、GA4では、これらの2つの計測ツールが統合され、Webサイトとアプリを利用するユーザーの行動を横断的に分析することができるようになっています。

・ユーザー軸で行動分析ができるようになった
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)では、ページビューなどでデータを計測していました。
しかし、GA4では、イベント単位でデータ計測が行われるようになっています。
これにより、ユーザーがWebサイトに訪問するまでに、どこで接点を持ち、Webサイト内でどのような行動をし、最終的にコンバージョンに至ったのかを、ユーザーを軸にして分析することができるようになったのです。

・プライバシーに配慮したデータ収集が可能になった
GA4は、GDPR(EU一般データ保護規則)や、CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などのデータ規制に準拠したツールになっています。
さらに、サードパーティCookieが段階的に廃止される方向で進むなかで、Cookie情報を利用せずにデータ収集が可能な機能も搭載されています。

・機械学習を活用した予測機能が追加された
GA4には、Googleの機械学習モデルを使った「予測機能」が新たに導入されています。
これにより、ユーザーの過去の行動履歴をもとに、今後のユーザーの行動を予測することが可能になります。
例えば「今後〇日以内に購入に至るであろう」という確度の高いユーザーを予測することで、購買意欲の高いユーザーグループの傾向を深く分析することができます。
ただし予測機能を利用するには、一定の条件を満たす必要があります。
Googleの公式サイトで解説されているので、気になる方はこちらをご覧ください。

参考:[GA4]予測指標 – Googleアナリティクス ヘルプ


UAとGA4の違い
結論から言うと、従来のユニバーサルアナリティクス(UA)とGA4はまったく別のアクセス解析ツールです。
従来との違いについて、以下の4つの点から解説していきます。
1.見た目(UI)
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)とGA4では、ダッシュボードの項目やグラフのレイアウトなどが大きく変化しています。
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)は、アカウント>プロパティ>ビューの3段階の構成になっていました。
GA4では、アカウント>プロパティの2段階構成になりました。

2.データの計測方法
AさんがWebサイトへアクセスし、ページを閲覧しました。
Aさんはそのページに「2分」間滞在し、またスクロール率も「90%」まで達しています。
一方、Bさんの滞在時間は「5秒」で、スクロール率は「15%」でした。
これらを数字だけで比較すると、AさんとBさんのWebサイト内での行動は全く異なります。
しかしながら、従来のユニバーサルアナリティクス(UA)では、サイト内のユーザーの行動が異なるにも関わらず、同じデータとして計測されていました。
GA4では、新たに「エンゲージメント(サイトやアプリに対するユーザーの操作)」という新しい指標が追加され、Webサイト内のユーザーの行動や性質がよりデータとして見やすくなりました。

※「エンゲージメントのあったセッション」の定義
セッションが10秒以上継続した
1件以上のコンバージョンイベントが発生した
2回以上のページビューイベントが発生した

例えば、Bさんはセッション時間が10秒未満だったため、「エンゲージメントのあったセッション」としては0と計測されます。
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)では、ユーザーがページに訪問した時間と次のページに移動した時間の差分を「セッション時間」として計測していました。
そのため、ユーザーが1つのページのみを閲覧してサイトから離脱した場合、セッション時間は計測されません。
GA4では、ユーザーが次のページへ移動せずに離脱した場合でも、Webページやアプリがフォアグラウンド(最前面)表示されていた時間を計測することができます。

参考:[GA4]ユーザーエンゲージメント – Googleアナリティクス ヘルプ

GA4は「ユーザー」を分析軸としているので従来のユニバーサルアナリティクス(UA)では、「セッション」を軸に、ページビューなどを単位にデータを計測していました。
しかし、GA4ではユーザーを分析軸とし、イベント単位でデータ計測するようになりました。
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)には「イベント」という項目もありましたが、GA4で使用されるイベントとは別の意味なので注意が必要です。
あとGA4はすべて「イベント」として計測しているので、GA4では、イベント単位でデータを収集するため、様々なイベントを計測することができます。
イベントには、GA4の基本タグを設置することで自動的に取得される「自動収集イベント」や、計測したいデータに合わせてイベント名やイベントパラメーターを自由に設定できる「カスタムイベント」などがあります。

※GA4の主要なイベント
イベント名    意味
first_visit    初回訪問が発生した時に送信されるイベント
session_start    セッションが開始した時に送信されるイベント
page_view    ページビューが発生した時に送信されるイベント
user_engagement    ユーザーがブラウザに1秒以上滞在したときに発生するイベント
scroll    90%スクロールが発生した時に送信されるイベント


GA4では、ユーザーがWebサイトのページを閲覧した際に「page_view」というイベントが送信されます。
しかしながら「page_view」というデータだけでは、ユーザーがどこからアクセスし、どのページを見ていたのかまでを深く理解することはできません。
そのため、GA4では、イベントに関する詳しい情報を取得するために「イベントパラメーター」を付与することができます。
これにより、イベントの詳細なデータを分析することができます。

3.データの分析方法
GA4では、新たにGoogleシグナルを利用することができるようになりました。
Googleシグナルとは、Googleアカウントを持つユーザーの情報をもとに、異なるデバイスを使用していても、1人のユーザーとして紐づけてデータを取得することができる機能です。
ただし、Googleシグナルを利用する場合は、以下の特定の利用条件※2を満たす必要があります。

※2 Googleシグナルの利用条件:
ユーザーがGoogleアカウントにログインしている
ユーザーがGoogleアカウントに対して広告最適化(広告のカスタマイズ)を許可している

4.アクセス解析の考え方
GA4とユニバーサルアナリティクス(UA)では、アクセス解析における考え方が異なります。
ユニバーサルアナリティクス(UA)のアクセス解析の考え方
従来のアクセス解析の考え方は、「ファネル」に基づいていました。
「ファネル」とは、ユーザーがアクションに至るまでの心理プロセスを図式化したものです。
アクションに至るユーザーは、温度感が高く、ビジネスの成果に結びつきやすいため、アクションの段階に多くのユーザーを集めることが重視されます。
昨今では、リスティング広告などWeb広告を出稿して、ユーザーをWebサイトに集める手法が一般的になりました。
一方で広告のCPA※3やCPC※4が高騰し、Web広告が飽和状態にあるとも言われています。

※3 CPA(Cost Per Action):1件のコンバージョン獲得にかかる費用、顧客獲得単価。
※4 CPC(Cost Per Click) :広告1クリックあたりにかかる費用。

GA4のアクセス解析の考え方は従来のユニバーサルアナリティクス(UA)は、ファネルの最終段階である「アクション」にいる最も温度感が高いユーザーを分析することを重視していました。
一方で、GA4では、ファネルの最初の段階から将来アクションしてくれそうなユーザーを1つの流れで分析することができる特徴があります。
分析の軸が「ユーザー軸」に変わったことで、1人のユーザーの行動が一連の流れで把握しやすくなりました。
「今まで検索広告に頼っていたけど、GA4で調べると実はオウンドメディアからのアクセスが多かった…」ということが分かれば、オウンドメディアの記事やコンテンツを拡充することで最終的に成果に結びつく可能性も期待できます。