ユーザーが商品の購入やサービスの利用に至るまでの間に、一般的にユーザーの心理状態は一連のプロセスを辿ります。
この消費者の心理状態のプロセス、すなわち購買行動をモデル化したものをマーケティングの分野では「購買モデル」と呼んでいます。
そして、商品やサービスを提供する側は、やみくもに物やサービスを売ろうとするのではなく、その購買モデルを理解して売り方を工夫することで、より効率的、効果的に商品やサービスを提供することに繋げることが可能となります。

今回は、SNSが普及した現在に提唱されている購買モデルを紹介します。

その前に、たくさんある購買モデルの中から特に有名なものをマーケティング環境の大きな歴史的変遷と共にざっと挙げてみます。

購買モデルで最も有名なものは「AIDMA(アイドマ)」です。

「AIDMA(アイドマ)」とは、
「Attention=認識する」
「Interest=興味を持つ」
「Desire=欲求となる」
「Memory=記憶する」
「Action=購買する」
と、この購買モデルでのユーザーの態度変容の段階ごとの頭文字をとって呼称としたものです。

「AIDMA(アイドマ)」では、当然、段階が進むにつれてその段階に該当する人数は減っていきます。潜在層のターゲットが離脱して顕在層のターゲットが残っていくイメージでしょうか。

商品やサービスの提供者からすると、提供までのプロセスとして、まずその商品やサービスをターゲットに対して認知させるというところから始まります。次いでできるだけ多くに興味を持ってもらい、できるだけ多くに、欲しいという気持ちを喚起させ、(露出・接触を増やし)購入意思を継続してもらい、できるだけ多くのターゲットに購入してもらう、という課題があるということになります。

「AIDMA(アイドマ)」は1920年代にアメリカで提唱されたものなので、登場から100年を経過しているということになります。インターネットやSNSが登場する前の、新聞・雑誌・ラジオ・テレビなどマス媒体を広告対象としたいわゆるマスマーケティング時代の購買モデルですが、長きに渡って活用され、確立されたモデルであり、今でもマス媒体向けのフレームワークとして利用され続けています。

そして「AIDMA(アイドマ)」の時代は何十年も続きましたが(もちろん現在でも)、やがてインターネットの普及が始まりIT革命が訪れます。
ここで提唱された購買モデルが「AISAS(アイサス)」です。
提唱したのは大手広告代理店の電通です。2004年のことでした。

「AISAS(アイサス)」の、ユーザーの態度変容の段階は
「Attention=認識する」
「Interest=興味を持つ」
「Search=検索する」
「Action=購買する」
「Share=共有する」
になります。

この時代を生きるみなさんにとって、馴染みの行動ですよね。「Share=共有する」に至っては、「AIDMA(アイドマ)」の時代では家族や友人・知人など限られた人としか商品やサービスの口コミは共有されませんでしたが、今やどんな情報もネットやSNSで共有されています。

そして更にその「SNSの時代」の購買モデルとしてSNSマーケティング支援会社であるホットリンク社が提唱したのが「ULSSAS(ウルサス)」です。

ここではユーザーの態度変容の段階は
「UGC(User Generated Contents)=ユーザーによる商品やサービスの投稿」
「Like=いいね」
「Search(1)=SNS検索」
「Search(2)=Google/Yahoo!検索」
「Action=購買する」
「Spread=拡散する」
と変化してきます。

先に紹介した「AIDMA(アイドマ)」は、あくまで極端に言うと、最初の「Attention=認識する」の段階でいかに莫大な広告費や施策への経費を掛けられるか、ということが成功の鍵となっています。
そして「AISAS(アイサス)」では検索エンジン最適化(SEO)が鍵となっていて、いかにインターネットで検索上位に表示させるかという所に多くの予算と労力を注ぐ必要があります。
しかし今や時代は変わり、贅沢に広告費・マーケティング費やSEO施策費に予算や労力を割かなくとも成功できる可能性がある、SNSマーケティングという有難い手段が生まれた訳です。

ここでの鍵は「良質なフォロワー」と「シェアされるための仕組み」ということになります。また、「ULSSAS(ウルサス)」には「コアなファンを作りやすい」という特徴があり、よりコアなファンになるほどUGCの発信頻度や購買力が盛んになっていきます。上手くUGCを促すコンテンツを用意・維持し、フォロワーがお店やキャスト、サービスのファンになってくれると、「ULSSAS(ウルサス)」が回り始めます。

「ULSSAS(ウルサス)」に適した商品やサービスを扱っているお店は、広告費・マーケティング費やSEO施策費を削減し、その浮いた分とそれらに向いていた労力を商品やサービスの更なる向上に回し、SNSマーケティングを更に突き詰める方向にシフトすることを検討してはいかかでしょうか?

以上、購買モデルのごく簡単な紹介でした。