先日、日々の業務効率化のヒントを求めてオンライン開催された「AWS Summit Japan 2025」に参加しました。
そこで発表されたAI技術の進化は、私たちのビジネスモデルそのものを変革しうるほどの大きな可能性を秘めており、深い感銘を受けてしまいました。

属人化からの脱却:AIが可能にする高品質なコンテンツ制作
特に衝撃を受けたのは、生成AIサービス「Amazon Bedrock」のアップデートです。この技術は、これまで担当者のスキルやセンスに依存していた業務の標準化と品質向上に、大きなブレークスルーをもたらすと確信しています。

その一つが、マルチモーダルAIによるコンテンツ生成支援です。これは、テキストだけでなく画像や動画といった複数のデータをAIが統合的に理解し、新たなコンテンツを生成する技術です。私たちの業務に置き換えるならば、キャストの写真や自己紹介の動画から、その人物の個性や魅力をAIが自動で分析し、ウェブサイトに掲載する訴求力の高いプロフィール文章を複数パターン提案することが可能になります。

これまで、こうした紹介文の作成は担当者の文章力に大きく依存し、クオリティにばらつきが生じることが課題でした。しかしAIを活用することで、データに基づいた効果的な表現を安定して生み出し、ウェブサイト全体の魅力を底上げできるのです。これは、コンテンツ制作業務の属人化からの脱却を意味します。

機会損失の削減とスタッフエンゲージメントの向上
次に、AIエージェントによる業務プロセスの自動化です。デモンストレーションでは、自然言語の指示に基づき、AIが各種システムと連携してタスクを自律的に実行する様子が紹介されました。

当業界では、お客様からの予約に関するお問い合わせが24時間寄せられますが、スタッフが即時対応できないことで機会損失に繋がるケースも少なくありません。このAIエージェントを活用すれば、お客様からの問い合わせメールやチャットに対し、AIが予約システムやキャストのスケジュールとAPI連携して空き状況を即座に確認。予約の仮押さえからお客様への確認連絡までを自動で完結させることが可能になります。

これにより、顧客満足度と予約成約率の向上が期待できるだけでなく、スタッフは煩雑な調整業務から解放され、接客や従業員ケアといった、より付加価値の高い「人にしかできない仕事」に集中できるようになります。これは、従業員のエンゲージメント向上にも繋がる重要な変革だと思います。

事業継続の生命線となる「責任あるAI」
そして、何よりも重要だと感じたのが「責任あるAI」という考え方と、それを支える技術です。AIが生成するコンテンツが、意図せず不適切な表現や法律に抵触する内容を含んでしまうリスクは、事業を継続する上で絶対に避けなければなりません。

AWSが提供する「Guardrails for Bedrock」といった機能は、風営法や景表法、その他の関連法規に準拠しない表現や、企業の倫理規定に反するコンテンツをAIが生成しないよう、事前に厳格なルールを設定できるものです。テクノロジーの導入は、常にリスク管理と一体でなければなりません。事業の根幹を守るための具体的なソリューションが提供されている点は、現場での実用化を検討する上で、大きな安心材料となります。

最後に・・・
今回のAWS Summitは、これまで労働集約的とされてきた私たちの業界が、テクノロジーの活用によって、よりスマートで持続可能なビジネスモデルへと進化できる可能性を明確に示してくれました。

AIは単なる業務効率化ツールではないと思っていて、それは顧客体験の質を向上させ、スタッフの働きがいを高めるための戦略的な投資だと思います。今回のイベントで得た知見を元に、まずはスモールスタートでも、課題解決に繋がるAI活用の道を模索していきたいと思っています。テクノロジーと人間が協調することで生まれる、新しいサービスの形を追求していくこと。それこそが、これからの時代を生き抜く鍵となると思っています。