『カスタマーエクスペリエンス』という言葉をご存知でしょうか?
カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、「顧客体験」あるいは「顧客体験価値」などと訳され、顧客(BtoC、BtoB共に)が商品・サービスと接する際の一連の体験により顧客が得る認識のことを指すマーケティング用語です。

マーケティングでは、デジタル技術が発達し顧客の購買行動が変化した昨今では、企業やお店が優れたカスタマーエクスペリエンス(CX)をお客様に提供することで、その企業やお店は競合優位性を得て差別化を図ることが可能であると考えます。

無形サービス、有形サービス共に、カスタマーエクスペリエンス(CX)への認識・取り組みは重要なものとなります。

ここでは、お店やオンラインを経由して提供される有形サービス=有形商材(食品・衣類・家電や各種雑貨など、また、自動車や不動産などの形のある商材)の対極に位置する商材である無形サービスの特徴と、その特徴ゆえの留意点を挙げ、その留意点への対応策として優れたカスタマーエクスペリエンス(CX)の提供が有用であるとの考えを、複数回に渡って記したいと思います。

『無形サービスの特徴とその留意点』
参考サイト:厚生労働省 マーケティング理論(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000881330.pdf)

▼特徴① 無形性
お店や店員などは存在しても、お客様が対価を払う(無形)サービスには、目で見たり触れたりできる形がありません。
▽留意点
サービスの有形化(見える化)を高める必要があります。

▼特徴➁ 品質の変動性
誰が提供するか、いつ提供されるかによって、その質が異なる可能性が大きく、質の均一性を保ちにくいと言えます。
▽留意点
接客マニュアルの作成や教育訓練の実施、顧客アンケートのフィードバック等、業務の効率化による迅速性や正確性の向上が必要となります。

▼特徴➂ 不可分性
提供する側とされる側が必ずその場にいなければなりません(生産と消費が同時に行われる)。
▽留意点
一度に多数の消費者にサービスを提供できる仕組みや、サービスを記録・保存する方法を構築することが望ましいです。

▼特徴➃ 消滅性(非貯蔵性)
生産と消費が同時に行われるため、在庫を持つことができません。
▽留意点1
需要に対する管理を必要とします。
・期間割引やシーズン料金を導入しピーク時の需要を非ピーク時へと移動させます。
・さらに非ピーク時の需要を活性化させます。
・待ち時間などを快適に過ごせるなど、補完的なサービスを開発します。
・予約システムを導入し、ピーク時の需要を事前に他の時間帯へ移動します。
▽留意点2
供給に対する管理を必要とします。
・従業員を追加し、ピーク時の供給力を高めます。
・消費者のサービスへの参加度合いを高めます。
・需要が見込まれる場合は施設の拡張を行い生産性を高めます。 

▼特徴➄ 需要の変動性
需要量がシーズン、週、一日の時間帯などによってかなり変動します。
▽留意点
上記、消滅性の留意点1と同じです。

▼特徴⑥ 供給の固定性
需要量の変動に対して100%可変的ではありません。
▽留意点
上記、消滅性の留意点2と同じです。

以上、無形サービスの特徴とその留意点となります。
無形サービスに於けるこれらの特徴を改めて認識してみると、その留意点に対応する優れたカスタマーエクスペリエンス(CX)の提供に注力することで、競合との差別化に繋げることが確かに出来そうに思えます。

次回、無形サービスでの優れたカスタマーエクスペリエンス(CX)の提供がもたらすメリットについて記してみたいと思います。